「あなたには、なににも代え難い、ペットはいますか?」



このページに辿り着いてくださったあなたには、きっと愛しているペットがいることと思います。



「あなたのペットは、今、どんな状態ですか?」



あなたは、なんどもなんども、獣医師と相談を重ねて、それでもなにか方法はないのかと、検索をして、辿り着いてくださったのかもしれませんね。


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先に申し上げますと、残念ながら、この文章中にも答えはありません。
ただ、このように考える方法もあるんだ、ということの一例になれることを願って、この文章を書きました。


わたしは、動物看護師です。目の前で亡くなるペット、亡くなったという知らせを、何十何百と見て、聞いてきました。いつまでも、慣れることはありません。そして、自分が暮らすペットが亡くなるとわかったときには、悩みました。

あなたが現状に悩みながら、この文章を読んでくださっているとしたら、すこしはお役に立てるかも、しれません。


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現在わたしは、今、7歳と7ヶ月の2匹のウサギと暮らしています。ヒトでいうと、60歳くらいと、16歳くらいです。

わたしの身になにかが起こらない限り、確実に、彼らはわたしよりも早く亡くなります。これは、避けようがない事実です。

避けられないから嘆き悲しむのではなく、「どのようにしたら、彼らの最期を安心で安全に迎えさせてあげられるのか」。それは、今、この瞬間からでもできることです。


あなたも一緒に、ゆっくりでいいので、考えてみませんか?


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これから、

悩んでいるあなたには、ひとつの考え方を、
 
これから老いてゆくペットと暮らすあなたには、ひとつの経験を、
 
ペットと暮らし始めたばかりのあなたには、ひとつの物語を、

お伝えしてゆきます。



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この子は、ちろるといいます。2008年1月20日に、亡くなりました。8歳でした。
未避妊の女の子で、8歳というと、かなり長生きです。

彼女は、弟のことが大好きでした。わたしのことは、大嫌いでした。これは、世話をする人が嫌われてしまう、ペットと暮らしている人ならわかる、「あるある」かもしれませんね。

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この距離感…


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彼女に最初に異変が起きたのは、2004年夏のことです。急に食事が落ちてしまったのです。
わたしは当時、すでに動物看護師として働いていました。院長先生に見ていただいて、「臼歯過長症」と診断され、麻酔下で臼歯を切っていただきました。
 
ウサギの「臼歯過長症」は、それほど珍しい病気ではありません。

ウサギの歯は一生伸び続ける歯で、食事をするときに上下の歯で削り合うことで、ちょうどよい長さを保ちます。そのバランスが崩れたときに、口の中で歯が伸びすぎてしまします。この状態を「臼歯過長症」といいます。もちろん、前歯の伸びすぎの状態もあります。

ちろるは、小さな頃にウサギの歯にとって大切な干草を十分にあげなかったため、食べなくなってしまいました。大きくなってから、ウサギに食事を変えさせることは、とても難しいのです。

幸いなことに、ちろるの「臼歯過長症」は、左奥の歯が柱のように伸びるタイプでしたので、半年に1回の臼歯処置で切り抜けることができました。(口の中を傷つけるタイプの伸び方ですと、2週間から1ヶ月ごとに処置をすることもあります

ちろるの2回目の臼歯処置のときには、わたしはさいとうラビットクリニックで動物看護師をしていました。この病院で、ちろるは何度も臼歯に関してお世話になりました。

臼歯処置の間隔は、一般的に狭まることが多いです。(これはわたしの体感です。)ちろるの臼歯処置も、半年に1回から、3ヶ月に1回と短くなりました。

「臼歯過長症」は、歯が伸びると切っていれば、終わりでないところが厄介です。
 
歯に正常な力が加わらないからこそ、歯が口の中を傷つけるように伸びてしまう。これは、歯根にとっても負担があります。徐々に炎症が起き、そこから膿んでしまうことがあります。

ウサギの場合、一度膿んでしまうと治りにくく、膿を外科的に取り出すことが必要となることがあります。


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2007年8月、ちろるの口の中に異変が見られました。左下顎、舌の下の粘膜が、赤く炎症が起きていました。

「膿んでしまうかもしれない」と抗生物質を飲ませることになりました。しかし、10月には口をモグモグし始めました。何も食べていないのに口を動かすのは、何らかの違和感がある動作です。

その後、すぐに下顎が腫れてきました。伴って、ちろるの食欲が落ちてきました。

わたしは動物看護師です。こうなったウサギの予後(これからどうなるかの見通し)が経験上わかります。彼女はこれから自分で食べられなくなり、痩せてゆくでしょう。痛みでのたうち回ることになるかもしれません。(常に炎症が起きている下顎骨は、変形してゆくことがあります。骨が変形するんです…)

ちろるは2.0kgありましたが、体重が1/3落ちたら、つまり1.3kgになるころには、生死の境にいるでしょう。

わたしはこの時点で、獣医師に相談をしました。安楽死を選択するかの相談です。

動物には、安楽死が認められています。わたしも何度か立ち合ったことがあります。安楽死を選択された飼主さんの理由はさまざまでしたが。

たとえ獣医師に相談をしても、決めるのは飼主であるわたしです。

そこで、決めたことが3つあります。

1)これから食べられなくなり、流動食を始めたとして、彼女がそれを食べる限りは「生きる意思がある」と判断する

2)痛みは、できるだけ除く

3)食べなくなったあとの、延命はしない


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ちろるは、わたしが大嫌いでした。
毎日の投薬、1日2回の流動食、もっとわたしのことが嫌いになりました。
自分で食べることができなくなると、みるみる痩せてゆきました。

きれいな茶色と白だった彼女の見た目は、大きく変わっていました。左目の周りは涙が溢れ、顎下は大きく腫れ、重そうでした。身体はやせ細り、顔と身体のバランスが崩れていました。
元気がなく、じっと座っていることが多い。膿が口の中に出るので、常に口を動かしていましたした。彼女からは膿の臭いが常にしており、食べないことによってお腹の調子も崩れ、便も臭いました。きれい好きな本人が、一番辛かったと思います。

わたしのことが大嫌いなちろるは、お正月が空けた頃から、わたしに寄り添うようになりました。痛かったり、辛かったり、そういう気持ちがあったのかもしません。彼女の体重は1.4kgになっていました。

ある日、いきなりちろるの部屋の中から、「バッタン!バッタン!!」と大きな音がしました。驚いて見に行くと、彼女が部屋の中で暴れ回っていました。明らかにおかしい。彼女の顎の炎症は上顎の目の前まで達し、骨を変形させ始めました。わたしは獣医師から指示されていた最高量の痛み止めを飲ませました。他の臓器への影響を考えているよりも、今のこの痛みをなんとかしてあげなければ、と、とっさに判断しました。

同時に、あと数日の命かもしれない、と思いました。

2,3日しないうちのその日、仕事からの帰宅後、じっと部屋の隅にいるちろるに流動食をあげようとしました。彼女は、一切、口を動かしませんでした。

「ああ…さよならなんだね…がんばったね。」そっと彼女を部屋に戻しました。

わたしは3兄弟で、弟と妹がいます。この時期、3兄弟が揃うことはほぼなかったのですが、この日だけ、珍しく揃いました。

ちろるは、部屋の壁に身体を預けていました。自宅に聴診器があることを思いだし、心音を聞くと、不規則に聞こえます。

「心音が変だから、今日、亡くなるかもしれないよ。」そう、弟と妹に伝えました。

ほどなくちろるは、横になりました。心音は乱れています。その感覚が小さく、ゆっくりになってきました。


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みなさんは、動物がどうやって亡くなってゆくか、ご存じですか?スーッと、眠るように亡くなることは、理想ではありますが、それほど多くありません。バタバタと暴れてみえることが、多いかもしれません。

ちろるの場合は、穏やかなほうだったと思います。

弟妹に心音を聞いてもらって、亡くなったことを確認してもらいました。

「ありがとうね」


次の日、ちろるをペット葬儀に出しました。数日後、お骨が戻ってきました。可愛い白い布に包まれていました。


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以上が、わたしが経験した、ウサギのちろるの最期でした。

この経験からわたしが学んだことは、「どこまでするか」を決めたら、状態が変わったとしても「ブラさない」こと。
もちろん、ペットの状態を見て、獣医師や信頼できる相手と相談の上で、方針を変更することはあると思います。

そうではない状態で、あなたがブレることは、ペットに伝わります。

たとえ「余命3ヶ月」と言われたとしても、「どのようにしたら、その子の最期を安心で安全に迎えさせてあげられるのか」は、あなた次第なのです。


その子は、いつも何と、呼ばれていますか?
 
その子は、何をすることが、好きですか?
 
その子は、何を食べることが、好きですか?


動物はシンプルです。元気だと食べる。元気がないと食べない。
自分のココが悪いから、走ってはいけないとは、わからない。

だからこそ、飼主さんができることは、あるはず。

わたしたちでも、ペットの最期をどう看取るかということは悩みます。なにが良いのかの正解はないのですから。

どうか、ひとりで悩まないで、信頼できる獣医師や友人にご相談くださいね。

もし、そのように信頼できる方がいない場合。わたしは動物看護師ですので「こうしたらいいよ」というお話はできませんが、お話をお伺いすることはできます。お困りのときには、お声がけくださいませ。